blank room soup

2003年以降に建造された潜水艦について調べています。

持っている服を全て食器にする

 

彩雲と申します。

まずはこちらのシャツをご覧ください。

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これは私が5年ほど前に買って、以来ずっと着続けているシャツです。
一見しただけでは5年という歳月の重みは感じられないかもしれませんが……

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よく見ると袖口が完全にほつれきっています。というか、この状態って「ほつれ」の域に収まるのでしょうか。もはや「損傷」では?

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また、このジーンズ。派手に破けていますがヴィンテージでもなんでもなく、新品を履き続けているうちにこのような状態になっていました。

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そしてこのジーンズ、絶対にダメージ加工を施してはいけない部分に穴が空いています。これで外歩いててよく何も言われなかったな。

この他にも「生地が磨耗してお色気衣装のようにスケスケになったスウェットパンツ」「腹部に謎の小さな穴が無数に空いているTシャツ(調べたところ虫食いでもなかったので、私のへそから溶解液が分泌されているとしか思えない)などが我が家のタンスには眠っているのですが、つまり……

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ということです。

こんな服を着続けていても社会的信用を損なうだけなので早く買い替えたいのですが、なかなか決心がつきません。というのも、新しい服を買うことを考えると以下のような葛藤が頭をもたげてくるからです。 

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こんな風に考えて、ついつい服を買うのを先延ばしにしてしまうのです。自分がそこまで価値を感じていないものにお金を払うというのは、どうしても気がひけるものですからね。

ではなぜ私が新しい服に価値を感じないのかというと、結局のところ今の服が「着れてしまう」からではないか、と思います。

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私のようなファッションに無頓着な人間からすれば、「物理的に着れる服」「着ても大丈夫な服」は同じもの。だからあえて新しい服を買うという選択肢が生まれないのです。

とはいえ、このままボロボロの服を着続けるわけにもいきません。そこで私はこのような解決策を考えました。

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話は簡単です。今持っている服が着れてしまうのがいけないのなら、全ての服を「完全に着ることのできない状態」にすればよいのです。そうすれば、さすがに私も新しい服を買わざるを得なくなるでしょう。

さて、一口に「服を着ることのできない状態にする」と言ってもいろいろな方法が考えられますが、私は服をあるものに加工することを思いつきました。

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そう、食器です。

というわけで、持っている服を全て食器にしていきます。

 

「なんで?」と聞かれても困ります。私だってなぜ自分がこんな結論にたどり着いてしまったのかわかりません。申し訳ないとは思いますが、人生万事塞翁が馬ということで飲み込んでもらえると助かります。

それでも納得できないという方は、ご自身で「服を食器にする合理的な理由」を考えていただき、以下の自由記述欄に入力すれば擬似的に真っ当な記事の流れを作り出すことが可能です。ぜひご活用ください。

 

というわけで、持っている服を全て食器にしていきます。

 

■服を食器にする方法

「服を食器にする」と聞いてもピンとこない方もいるでしょうから、まずはそのやり方をご説明しましょう。

 

●用意するもの

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・服
・型取り用の食器
・裁ちばさみ
・洗濯糊
・刷毛
・ラップ
・マスキングテープ

 

●作り方

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服は襟や袖口などの生地が重なっている部分を切り落とし、型取りする食器の大きさに合わせて裁断します。食器は汚れないようにラップでくるんでおきましょう。

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次に、裁断した服をマスキングテープで食器に仮止めし、洗濯糊を薄めずに刷毛で塗っていきます。生地を重ね貼りする要領でやると仕上がりがきれいになり、強度も高くなります。

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そして屋外や暖かい場所に放置して乾かします。冬場でも丸一日乾かせばパリパリに固まりました。

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固まったらマスキングテープを剥がし、余分な布をカットして形を整えれば完成!

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とても素敵なお皿ができましたね。

これを繰り返して全ての服を食器にしていくというわけです。難しい作業ではありませんが、あるべき因果から外れたことをしているという感覚が少しずつ心を蝕んでくるので注意が必要です。作業の合間に好きな音楽を聴くなどして気持ちが安定するようにした方がいいと思います。

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そしてこれが、私の持っている「全ての服」。詳しい内容は以下の通りです。

Tシャツ6枚、Yシャツ6枚、インナー3枚、パーカー1枚、長ズボン3本、半ズボン4本、パンツ3枚、靴下5足、パジャマ1組

一般的な意味での服の所持数としては少ないですが、食器にすると考えたら十分すぎるほどの量。家族や友達からの「もっと服を買った方がいい」という忠告を無視し続けていてよかったです。

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それでは早速、全ての服を食器にしていきましょう! がんばるぞ!!

 

※さっきから便宜上「『全ての服』を食器にする」とは言っていますが、私にも生活というものがありますので、さすがに一着分は服を残しています。筋を通すのであれば文字通り「全て」の服を食器にすべきなのかもしれませんが、この冬の時期に着るものがなくなるのはあまりに酷ですし、また私が体調を崩すことによって迷惑のかかる相手もいますので、これらの事実と記事の厳密さを天秤にかけた結果、前者を優先することに決めました。しかし、そういった諸々の事情を全てかなぐり捨てリアリティを追求することが美徳なのだと言われたら、私とてそれに反論する言葉は持ちません。皆さんはどう思いますか?

■作る

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この食器製作、完全にただの単純作業なので特筆すべきことが全く起こりません。どうしよう。

 

そうだ、せっかくだし服を食器にする上で役立つコツを皆さんにご紹介しましょう。

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☆その1☆ 上手な服の切り方

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服を裁断する時は、なるべくきれいな長方形になるように切ると、いろいろな形の食器に活用できて使いやすいです。

……

………

 

 

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すみません、いろいろ考えたのですがこの作業においてコツと呼べるようなものはこれ一つしか思いつきませんでした。逆に言えばこれさえ押さえておけば誰でも服を食器にできるので、ぜひ皆さんも挑戦して私と同じ虚無感を味わってみてください。

 

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『人にやさしく』を聴いています。

 

さて、言うこともなくなったのでさっさと終わらせてしまいましょう。

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終わりました。

 

■完成

結果的に4週間かかりましたが、ついに全ての服を食器にすることに成功しました。その成果をご覧ください。

 

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誰がこんな光景を想像できたでしょうか。私が持っていた服は、全て食器になってしまいました。「全ての服を食器にする」と、言葉では何度も言ってきましたが、こうして出来上がった実物を見るとクラクラしてきます。今更ながら「取り返しのつかないことをしてしまった」という思いが強く湧き上がってきました。なんでこんなことをしたんでしょうね。

念のため、加工前の服の写真と見比べてみましょう。

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どういうこと???

自分でやっといてなんですけど、「そんなわけないだろ」としか言いようがありません。よく知りませんが、こういうのを「シュール」と言うのでしょうか?

 

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……しかし、これらの食器をしばらく眺めているうちに、どこか清々しい気分になってきました。そもそも私がこのようなことを始めるに至ったきっかけは、「新しい服を買う決心をつけるため」だったはず。そして持っている服が全て食器になってしまった以上、私も覚悟を決めざるを得ません。

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というわけで、ようやく新しい服を買うことができました。いっても8000円くらいだろと思ってたら12000円したので会計時は手が震えました。でも、これらの服をまた5年とか着続けると考えれば高い買い物ではないのでよしとしましょう。

少々荒療治ではありましたが、これくらいのことをしないと私はいつまでもボロボロの服を着続けたままだったのかもしれません。

 

■食事にしよう!

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そしてこんなに食器を作ったからには、これを実際の食事に使わない手はありません。丹精込めて作ったものですし、せっかくならおいしい料理を盛り付けたいですね。

 

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さあ、今日はごちそうです。私の好きなものばかりを集めた夢のような献立が完成しました。自分の服で作った食器で、自分の好きな料理を食べる。これ以上のねぎらいがあるでしょうか。これでこそ服を食器にした甲斐があるというものです。

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それではいただきます!

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ごちそうさまでした。
この通り、服で作った食器でも食事に使うことができました。しかし使い心地はお世辞にも良いとは言えず、またすっかり忘れていましたが加工時に使った洗濯糊の安全性についても不安が残るので(食事中に気づき、以降は料理の味がわからなくなりました)、こんな食器を使う価値は全くないと思います。皆さんは服でできた食器でご飯を食べないようにしてください

だいたい服なんて所詮ただの布なのですから、いくら食器の形に加工したところで食事に使えるわけがないではないですか。人を馬鹿にしないでほしいです。

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でもそれはそれとして、「捨てられないものを食器にする」というのは、断捨離の手段としては有効であるように感じました。未練も何も無くなるからです。

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服に限らず何か捨てられないものがあるなら、それを食器にしてみてはいかがでしょうか? 片付けが苦手な方、昨年の大掃除で捨てそびれたものがある方はぜひ試してみてくださいね。

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それでは2021年も頑張っていきましょう。